断熱材って、何と思われますか。物理的には、熱伝導が限りなく遅い物質なんですね。なので、必ず熱は伝わる。ただ、外壁や屋根は一日の中で暖かくなったり冷たくなったりを繰り返すから、そのサイクルの時間の中より伝導する時間の方が遅ければ大丈夫。でも、床下はそうも行きません。床下は常時冷たい風が抜けていきます。室内からの暖かい熱が逃げる原因となるんですね。
そんなところから、断熱の専門家たちの間では、基礎断熱+床下補助断熱がベスト…という公式が出来てきたんです。ところが、基礎断熱が難しい。工法とすれば、外断熱が良いのは解っているけど、アリの食害の可能性が常につきまといます。薬剤処理によって、アリがつかない物も有りますが、環境負荷や粉となったときの有害性は??素材的にアリが入らない物もありますが、物凄く高い。最近、グラスウールの基礎断熱材が出ているので、興味有るのですが、本当に撥水性が半永久で持つのか??疑問です。
あと、繊維系断熱材の気密について。業界の大半の人は建物の気密性のことと勘違いしていますが、重要なのは、室内の暖かい空気が断熱層に入らないこと、他の部分へ逃げないことなのです。断熱層に暖かい空気が入れば合板のところで確実に結露します。いわゆる壁内結露とか構造内結露と言われる部分です。通気工法が有るから大丈夫…じゃないんです。幾ら通気工法をしていても、断熱材の層に暖かい湿った空気が入ってくれば、外側は冷たい空気でさらされた合板(もしくは下地材)が結露するのは当然。結露は暖かい方で発生しますから、通気層ではない方で結露するわけです。だから、断熱層に暖かい空気を入れてはならないのです。繊維系断熱材の決定的な弱点は空気を良く通してしまうこと。その部分での気密なのです。他の部分へ暖気が逃げれば寒くなるので、それはまぁ効果の部分ですから…動かないに越したことはない。その為の気密なんですね。
沢山の間違った情報や、非理論的な、感覚に頼った判断が余りに多い断熱の世界。もし、北海道や東北方面の業界の方々が見て居らっしゃたら『今時、何を言ってんの』と思われるでしょうけど、地域変わればそんな状態です。私も本格的に断熱の勉強を初めて日が浅いですが、やっと解ってきました。北海道での独自資格であるB.I.S.(断熱施工技術者)という資格が、もっと全国的になるべき事かもしれません。私も、このB.I.S.の試験勉強用テキストを勉強してきましたが、非常に物理的理論で成り立っている物だと思いました。
北海道の住宅建築。次世代省エネ基準も北海道だけは道立の北方住宅研究所や室蘭工科大学の教授の先生方で作られた独自基準なんです。だから桁外れに厳しい。本州側の次世代省エネ基準なんて、普通の断熱をきっちり施工すれば達成できます。物凄く甘い。八ヶ岳ではやはり北海道基準をベースに考えないと、本当に快適な、ランニングコスト負担が少ない家は難しいと思っています。
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