今回、九州の杉を視察に行って、非常に勉強になったことがありました。杉には200種位の品種があって、色々な特性や、持ち味が有ることは知っていたのですが、その中でも挿し木と種からの実生とで大きく異なることを初めて知ったんです。本州の場合、殆どの杉は実生なので、挿し木の杉という物にふれたのが今回が初めてだったのです。
この差が、結構大きいことに驚きました。ログ材や、板材にしたときの表情が全く違うのです。正直、最初に製品を見せられたときは『これ、杉ですか??』って感じです。本州の見慣れた杉とは全く違います。
まず、木目の出方が全く違います。小国の実生杉の場合、芯の部分の年輪が詰まない為にこの様な表情になるんだとか。本州の杉特有の和風っぽさが、ありません。左の写真は築2年ほどの小国杉ログの内部です。とても綺麗なログ材になっていませんか?しかも、赤身白身のまだらが殆ど無く、綺麗に揃っています。ほぼ赤身のみです。
次に、節が黒くない。本州の杉は黒く死節と言われる節目になるのですが、小国は茶色で生節なんですね。表情が軟らかく、おとなしい感じとなります。これは、大きな面で使っていくログでは結構重要です。
また、乾燥技術が良いので割れていませんね。パインの無垢ログではこうは行きません。ビシビシ割れてきます。私も、この割れの少なさには驚きました。ま、産地のすぐ近くで建てたログなので条件は良いと言えますが、素晴らしい仕上がりです。写真が下手なので、実物はもっと良いですよ。
これは、今回一番衝撃だった築15年、全くメンテナンスしていないログ。しかも、広大な広場の真ん中で吹きさらしです。当時は乾燥技術が異なるために、割れが出ていますが、腐りが全くない。超高温、超多湿の熊本においてこれは驚異的です。赤身のみで製材されている強みですね。
密生して育てず、最初から成長を促して、赤身の多い材を取る。そして独特の表情を出す。非常に面白い物を見ることが出来ました。在来の場合、まとめて材を取ることが難しいので、運賃コストの関係で導入は今すぐには難しいですが、ログの場合はドカンと入ってきますのでまとめて入れることが可能です。床材なども、写真のように小国杉で揃えることも可能です。意外にお手頃価格だし、杉の床は材質的に暖かいのでお薦めです。
魅力あふれる九州の杉。ますますお薦めです。
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