池波正太郎著のエッセイに『むかしの味』と言うのがあります。まぁ、本当に良い味を良く知り尽くしていらっしゃる…そんなエッセイなんですが、松本にあった中華料理店が出てくるんです『竹乃家』というお店で、本当に焼き込んだチャーシューの味などが記述されています。
残念ながら『竹乃家』さんは閉店していて、私はその味を知るよしも無いのですが、その息子さんと竹乃家時代からの女将さん?がやっている中華料理店があると聞き行ってきました。場所は、松本サリン事件があった深志のさらに北で、完全な住宅街の一角です。松本駅からはタクシーで10分はかかると思います。
お店の名前は『驪山』(れいざん)といい、外観からは『外したか!!』と思ってしまう、飲食店長屋の真ん中にあります。(表現が上手くなくて、申し訳ございません)でも、ドアを開けると中華料理店とは思えぬ重厚なしつらえ。脂臭さなどございません。
さて、肝心のお料理ですが、実にクラシックな昭和中期・高度成長時代の高級中華の味。最近の中華になれた方には、物に寄っては味が薄いとか、旨味が無いとか思う物もあるかもしれません。しっかり焼きの入ったチャーシューの味わいが生きたチャーハンや、酸っぱくない蒸し鶏の冷やし中華、卵細麺??と思われる麺類等々。一品一品に手抜きがなく、大変に美味しく頂ける中華です。
土日はランチを含め満席必至。予約は欠かせません。お客層はかなり高めで落ち着きがある方達ばかり。良いお客様に育てられたお店だと直ぐに解ります。こんなお店が、こんな地方都市に…文化の深さを感じることの出来る名店です。
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