個人的趣味のお話ですが、本物を少しでも多くの方へ知っていただきたく、ご紹介。
『鼓童』という和太鼓を中心とした、日本の伝統芸能を現代風に表現するグループがあります。結成から30年近い集団で、音楽好きの方はご存じの方もいらっしゃるかも知れません。私は縁あって十数年前から、演奏触れたりお話する機会に恵まれていたのですが、ここ最近はご無沙汰でした。…と言うのもCDを何枚か持っているのですが、CDの方はピンと来なかったんです。なんだか、ノリが軽めで、あまりに現代風…。で、最近は全く聴くこともなく。
突然、ちょっと前にある方から『凄いDVDを見つけた!!』と誘われ、お邪魔したところが『鼓童』DVDだったんです。私は『鼓童』の演奏を一回観たことがあり、大太鼓の大変な迫力と、半端では無い技量の高さは知っていました。ところが、それを伝える物が今まで無かったんですね。CDは現代風だし…。所が、このDVDは全く違いましたね。
これが、そのDVDなのですが…鼓童オンラインショップでチョイ観が出来ます。鍛え上げられた肉体美にも釘付けなんですが、この技量の高さは半端ではない。また、一部ではエンターテイメントに走りすぎ…と揶揄されていますが、演出もなかなか良いです。緩急がしっかりあって、最後まで聴く者を飽きさせず、引き込んでいきます。演出は坂東玉三郎。
それにしても、完成度の高い演奏です。無駄な音が無い。静寂まで音にする緊張感と力技の圧倒的な爆発力のバランス感は見事です。音楽に興味のない方も、年齢を問わず、魂に響く演奏で虜にしてくれます。プロの技を越え、本当に芸術の域まで昇華させた感がある集団に成長したんですね。
出だしの木遣り歌から10名での3尺大太鼓の演奏などは見事としか言いようがありません。全身の力で叩いているのに、10名の息がピッタリ合っている。不可能と思えるほど、全員が同期していて、迫力に迫力を倍増させています。練習量だけでなく、精神的な鍛錬も半端ではないのでしょうね。演奏者の顔つきも普段と全く異なっていて、凛々しく、力強さがみなぎっています。鼓童ホームページのプロフィール紹介の顔つきと違いすぎて、一致しないくらいです。
続きの大太鼓のソロが三人続きます。リーダーとも言える藤本さんは御年57歳。とてもそんな年に見えぬ肉体美とパワー。続く石塚さんは鍛え抜かれた肉体美の境地かも。若手筆頭のようです。最後はサブリーダー的存在の見留さん。同じ太鼓なのに叩き手でここまで表現が変わるのでしょうか。相当に違います。音の高さも、音の太さ、響き。でも、いずれも凄いパワーと技量です。裏打ちとのタイミングがキッチリ合っていないと出ない音です。私も昔、ドラムをかじった時期がありましたが、こんな神業はあり得ない世界です。
この他、舞踊から様々な太鼓に楽器が出てきて、グイグイと見せてくれます。万人にお勧めしたいDVDであります。私は毎夜毎夜この太鼓の音を聴いて、パワーを戴いております。とにかく一見の価値有りの一本です。
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