八ヶ岳は陶芸をされる方は多い物の、漆器などは殆ど見かけません。でも、木曾漆器の産地は近いんです。車で一時間強で木曾漆器の本拠地『中山道 平沢宿』です。国道19号沿いにも大きな物産館があり、多彩な工房の作品展示があり、自分の好みに合う物をすぐに探す事ができます。
私は、いつも『平沢宿』の『ちきりや』さんにお世話になっていますが、木曾漆器はあくまで実用漆器ですから、本当に気兼ね無く使えるのが嬉しい。日常の漆器として使っていくほどに味わいが深まり、なじんでいくのであります。
輪島や京都のような装飾性の強い漆器は、取り扱いにも注意が必要ですが、木曾漆器はその様なこともなく、汁椀なんかも熱いお味噌汁を気兼ね無く入れられますし、実にタフなんです。
今日、百均ショップとか、量販店の型物と言われる大量生産品があふれる今日、人の手で削り出された曲面を手に触れつつ、木肌を感じながらの食事というのは、贅沢ではなくて、必要なのではないかと思います。『ちきりや』さんでは、一椀2000円台から売られています。ケヤキの木地にすり漆で仕上げた一品です。私も、この汁椀を愛用して8年になりますが、びくともせず、色が深まり愛着が湧いています。『ちきりや』さんは、修理も喜んで受けてくれまして、京都漆器で割れが出た物を修理してもらったことも有ります。一生使い続けることが出来る一品です。それにしては、実にお手軽なお値段です。
そうそう、木曾漆器ではありませんが、お箸は江戸木箸が素晴らしく良いです。八角形のお箸は、こんにゃくをつかんでも滑りません。きっちり摘める。持ち方を見直す良いきっかけです。 八角形で手触りも良く、このような素晴らしいお箸があるとは思いませんでした。とても細身で、箸を持つ気持ちもシャンとする一品です。大黒屋さんは、江戸木箸でも素晴らしい精度を持ち、端正なシルエットのお箸で有名です。これも、制作の手間を考えると破格のお値段です。お奨めです。
焼き物は、皆さんのお好みもあると思いますので、ここでは割愛します。私が、小学生の時から知っていて、愛着があるのが『南明寺窯』のペアソンさん。萩焼ですが、ロイヤルコペンハーゲンの絵付け師だった方が日本へ来られ、萩焼へ入門。独特の絵付けと、萩焼の優しい風合いを両立した素晴らしい焼き物を焼いておられます。色の感覚も素晴らしい一品です。
味気ない食器だけでなく、人の想いと共に、心豊かな食卓を飾りたい物です。我が家は、一汁一菜(健康面でなく、造るのが面倒なだけ)なので、食器数は少ないのですが、それぞれの食器は何か心のこもった物を選ぶようにしています。
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