オルケアでの新築住宅の場合は、かなり正確に熱損失計算が出来るので、蓄熱暖房機で比較的廉価に快適な家造りが出来ますが、既に建った建物や、他社の手による建物の場合は蓄熱暖房機の設置は非常にリスクなんです。
気密性能が解らない、断熱材がその性能を発揮できる施工がなされているか解らない…と言うところが大きな要因です。気密が悪いと、ちょっとした風でも部屋の暖気が冷気と入れ替わって、小型ファンヒーターぐらいの熱源分は直ぐにロスしてしまうお話は先日の記事にも書かせて頂いたところです。
そうなってくると、何処に要点をおいて、少しでも快適で少ないコストでの冬を過ごすことが出来るのか…いつも、考えています。まずは、暖房システムですが、大容量の暖房エアコンが一番良いと思います。暖房エアコン??と思われるでしょうけど、普通のエアコンと違って、外気温が下がっていっても安定した暖気を造る特殊な構造をしたエアコンです。
不思議な形です。床設置する機種となっています。そのため、暖気は下向きにでて、足元から暖める様になっています。なので快適。冷房時は上側より風が吹き出すようになっています。冷暖房平均COPは4.14と凄い性能となっていますが、低温時の暖房ではCOPは2.0程度と思っていて良いと思います。それでも、1000wの電力より2000w前後の暖かさを出してくるので、相当に素晴らしい効率です。価格は、エアコンとしては驚異の高さなのですが、暖房機器として見ると、蓄熱暖房機の価格や、その他の暖房機価格からすれば、無茶苦茶高いわけではありません。何より設置工事が安いですし、省エネです。
同様の製品がパナソニックからも出ていますが、壁掛け式であるのと、価格面ではさほど変わらない事、日立の方がこの分野では一歩先を行っていることで、この機種をお薦めしています。オルケアでも採用している物件がありますが、非常に好評です。
もう一つは 三菱さんが出している、エコヌクールレオという熱源器です。これもエアコンと同じような機械で、省エネです。COPは3.9程度ですが、かなりの定温でも安定した効率を売りにしています。これは、別途床暖房などの放熱機器が必要です。また、高温水が作れませんので、床暖房などの低温水駆動に向いています。パネルヒートでは容量不足になる事が多いです。既に床暖房を設置している方にお薦めなアイテムです。現在のボイラーとの交換で設置可能です。オルケア事務所の暖房は、この熱源器を使用中です。
これらのヒートポンプ式という熱源器を使うことで、少ないエネルギーから効率よく熱を取りだし、暖房することが可能になります。(蓄熱暖房機は、使用電力を余すこと熱にして使えますが、深夜電力料金を使って運用コストを抑えるだけであって、省エネではないのです)
もう一つ、重要なのは、部屋の熱を逃がさないようにする工夫です。まずは窓。ここが、逃げる熱の半分近くを通っています。また、古い建物では気密の悪いサッシで、風も抜け放題…という事も多いでしょう。近年、注目を集めているのが、部屋内側へもう一枚サッシを取り付ける方法ですが、私は個人的にお薦めしていません。何しろ使い勝手が悪い。見た目の圧迫感も大きい。
オルケアでは、断熱効果の非常に高いスクリーンをご紹介しています。これを付ければ、普通のペアガラスサッシがトリプルガラスサッシ並に、性能を上げることが出来ます。両脇にレールが付いて、すきま風もシャットアウト。劇的な効果が期待できます。
あとは断熱改修ですが、これは費用の割に根本的に解決が難しく、大々的なリフォームをしないと難しい部分もあります。でも、床下や基礎内の断熱改修は結構劇的な効果を生む方法もあります。(建物の構造によります)
床材を替えることでも、結構効果が出ます。オルケアで多く使っているのはコルクフローリング。コルクタイルでは無く、糊も釘も使わずに施工が出来るフローリングです。断熱性と足触りが暖かいコルクですので、かなり効果的です。今までの弱点だった耐久性も、デパートでのブティックに採用されるほどの耐久性がある物を使っています。オルケアの事務所も同じ床材を使っています。
色々な手法がありますが、簡単で費用対効果が高いのは、断熱スクリーンと暖房エアコンだと思います。私も、自宅では、太陽光を取り入れるために敢えてペアガラスにしたサッシ部に断熱スクリーンを取り付けて、夜間の熱損失を削減しています。劇的な違いがあり、開け放して寝ることはまずありません。風合いも良く、夜間閉めていることでの柔らかい感じが素敵であります。
今年の冬は異常な暖冬でしたが、今度の冬は解りません。少ないエネルギーでエコな生活。出来るところから始めてみませんか?
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